より将来を見た時の展望

今の日本における労働人口減少と高齢化のトレンドは、ある程度長く続く可能性も十分あり得ます。例えば内閣府の資料[1][2]では、少なくとも2065年までは高齢化率(65歳以上人口割合)は増え続け、それに伴い、15~64歳の年代1人当たりが高齢者を支える割合も増加する、というシミュレーションもしています。当プロジェクトでは、こういった展望まで想像した場合、農業分野において、またそれ以外の分野においても、以下のような事が重要になってくると想定します。

  • 右肩上がりの発展型経済モデルから、規模縮小前提の持続型経済モデルに切り替える事。
  • 労働世代比率が小さくても、働き手の働き方に、自らの暮らしを作り、家族や高齢者も支える生産性がある事。
  • 現在高齢者と言われる世代でも、継続的に労働出来るように、社会環境や技術環境を整えていく事。
  • 持続型経済においても、多様で自立的で、創意工夫が行える働き方が出来る事。

これらを実現するためには、私たちは以下のような価値観が重要であると捉えます。

  • 優先すべき経済的事項は、経済発展ではなく人の暮らしである事。
  • 労働において重要な事は、生産性や効率性だけでなく、働き手の主体性や手応えでもある事。
  • 暮らし方や働き方の、主体性、アクセシビリティ、手応えを深められる事は、豊かさの一つの姿だと捉える事。
  • 労働世代比率が少ないが故の少人数労働でも、働けて、暮らせて、生き抜ける構えを作る試みが出来る事。
  • 暮らしや労働において、自立的で探求的な取り組みが出来、無数の可能性へのアクセスが閉ざされていない事。

これらの価値観を、抽象的な話に終わらせずリアルなものとしていくために、当プロジェクトでは以下のようなスタンスで、農業の現場で働く人達に対して製品、サービスの提供を試みていきます。

  • ハードウェアやソフトウェアを、人間の代替システムではなく支援システムとして提供する事。
  • 闇雲な生産性向上のためでなく、目的があり必要な程度の生産性向上を実現するためのシステムを提供する事。
  • 働き手の探求的活動を支援するための開かれたナレッジを、製品やサービスとともに提供する事。
  • 多様で自立的な働き方を支援出来る、技術環境や仕組みを提供する事。